🔰 Hiltとは？

**Hilt（ヒルト）**は、Google が公式に提供する Android 専用の DI（依存性注入）フレームワークです。
内部では Dagger2 をベースにしていますが、「Activityのスコープ」や「ViewModelへの注入」など、Android特有の構造に最適化されているのが特徴です。

Java で Spring Framework を使ったことがある方は、@Autowired や @Component を使った DI をイメージしてもらうと近いです。

🛠 Hiltの導入ステップ（基本の流れ）

1. 依存関係を追加

build.gradle (app) に以下を追加します：

plugins {
    id 'dagger.hilt.android.plugin'
}

dependencies {
    implementation "com.google.dagger:hilt-android:2.x"
    kapt "com.google.dagger:hilt-compiler:2.x"
}

2.x には最新版のバージョンを指定します。

2. Applicationクラスにアノテーションを付ける

@HiltAndroidApp
public class MyApp extends Application {
}

これにより、アプリ全体で Hilt の DI コンテナが使えるようになります。

3. 依存を注入するクラスに @AndroidEntryPoint を付ける

@AndroidEntryPoint
public class MainActivity extends AppCompatActivity {
    @Inject
    TaskRepository repository;
}

このアノテーションを使うことで、Hilt がこのクラスに必要な依存関係を自動的に注入します。

4. 依存性を提供するクラス（モジュール）を作成

@Module
@InstallIn(SingletonComponent.class)
public class AppModule {

    @Provides
    public static TaskRepository provideTaskRepository() {
        return new TaskRepository();
    }
}

• @Module：依存性を提供するクラスに付ける
• @Provides：戻り値を依存オブジェクトとして提供する

⚠ 注意点とハマりどころ

1. Hilt対象のクラスは必ず@AndroidEntryPointが必要

• これを忘れると xxx is not annotated with @AndroidEntryPoint のようなエラーになります。

2. ViewModelへのDIにはHiltViewModelを使う

@HiltViewModel
public class MainViewModel extends ViewModel {

    private final TaskRepository repository;

    @Inject
    public MainViewModel(TaskRepository repository) {
        this.repository = repository;
    }
}

ViewModel を使う側（Activityなど）：

viewModel = new ViewModelProvider(this).get(MainViewModel.class);

Hilt の DI は、ViewModel のライフサイクルも意識して設計されています。

3. カスタムクラスやライブラリの注入は要注意

• Retrofit や Room などの外部ライブラリも DI 対象にできますが、スコープやインスタンス生成のタイミングには注意が必要です。
• @Singleton や @ActivityRetainedScoped など、スコープの選択を誤るとバグにつながりやすいです。

4. kapt（Kotlin Annotation Processing Tool）を使うことに注意

• Javaプロジェクトでも kapt が必要になることがあり、ビルド設定が少し複雑になることがあります。

✅ まとめ