Webページの見た目や動作に問題があるとき、最初に確認すべきは「DOM(ドキュメントオブジェクトモデル)」です。
Elementsパネルを使えば、HTMLの構造とCSSスタイルをその場で確認・編集できます。
この章では、よくある開発シナリオを通して、Elementsパネルの使い方を学びましょう。
3.1 セレクタを使った要素の特定
HTMLが複雑になると、目的の要素を探すのが難しくなります。
そんなときは、Elementsパネル上部の虫眼鏡アイコン(Select element
)を使いましょう。
操作手順:
- DevToolsを開いた状態で虫眼鏡アイコンをクリック
- ページ上の任意の要素にカーソルを合わせてクリック
- 該当するDOMノードがハイライトされ、Elementsパネル内で自動的にスクロール・選択されます
また、Ctrl + F
(macは Command + F
)でセレクタを入力し、要素を検索することも可能です。
🔍 ユースケース例:
#main-header
というIDの見出しが表示されない → 該当IDを検索して、CSSでdisplay: none
になっていないかを確認
3.2 HTMLをその場で編集する
DevToolsでは、選択した要素のHTMLを直接編集できます。これにより、表示のテストや修正が即座に確認可能です。
編集方法:
- 要素を右クリック →
Edit as HTML
を選択 - または、ノード名(タグ名)をダブルクリックしてインライン編集
例:
<h1 class="hero-title">旧タイトル</h1>
➡ 以下のように編集して Enter を押すと、その場で反映されます:
<h1 class="hero-title">新しいタイトル</h1>
この変更は一時的なもので、リロードすると元に戻ります。
💡 活用シーン:
- ランディングページの文言を編集してABテストの効果をシミュレーション
- 要素の入れ替え・削除をして、レイアウトが崩れないかを確認
3.3 data-* 属性や ARIA 属性の確認
近年のWebアプリケーションでは、HTML属性によってJavaScriptの動作やアクセシビリティを制御するケースが増えています。data-*
や aria-*
属性は、開発やUI検証において重要な情報源です。
data-* 属性:
カスタムデータ属性で、JavaScript側から読み取って動的な動作を制御します。
<button data-action="submit">送信</button>
➡ button.dataset.action
で "submit"
を取得できます。
ARIA 属性:
視覚障がい者向けのスクリーンリーダーに情報を伝えるための属性です。
<div role="alert" aria-live="assertive">重要なお知らせ</div>
➡ ページのアクセシビリティ改善に不可欠な要素です。
操作方法:
- Elementsパネルで該当の要素を選択
- 属性を確認・編集(ダブルクリックでキーまたは値を変更、右クリック→Add attribute で追加)
📝 まとめ
Elementsパネルは、Webページを分解・修正・再構築するための実験場です。
DOM構造・属性・スタイルを自由に操作し、リアルタイムに結果を確認できるこのツールを使いこなすことで、バグ調査やUI改善のスピードが大きく向上します。
🔖 補足:編集はあくまで一時的
DevTools上の変更は、ブラウザ上だけに反映される仮の変更です。
本番環境に反映するには、実際のHTMLファイルやテンプレートを更新しましょう。