Webページのデザイン調整や表示崩れの原因調査には、CSSの動作を正確に把握する必要があります。
DevToolsの Styles
パネルと Computed
パネルは、CSSのルールや計算結果を視覚的に確認できる強力なツールです。
この章では、スタイルの優先順位や状態シミュレーション、レイアウトの視覚化など、CSSに関するデバッグスキルを身につけましょう。
4.1 CSSルールの適用順序と上書きの確認
同じ要素に対して複数のCSSルールが定義されている場合、どのルールが適用され、どれが無視されたのかが重要になります。
Stylesパネルでできること:
- 現在選択中のDOM要素に適用されたすべてのCSSルールを一覧表示
- 上書きされたプロパティは打ち消し線(
line-through
)で表示 - ルールの出典(style.css や inline style など)を確認
- プロパティの値をリアルタイムで変更し、即時反映
例:
h1 {
color: blue;
}
h1.special {
color: red;
}
.special
クラスが付与された <h1>
要素を選択すると、Stylesパネルには color: red
が有効、color: blue
は打ち消し線付きで表示されます。
💡 活用シーン:
- 想定外の色やフォントが表示されるときに、どのルールが競合・上書きしているかを確認
- 重要度の高い
!important
の有無を視覚的に把握
4.2 疑似クラスのシミュレーション(:hover
, :active
など)
リンクやボタンのホバー状態やクリック状態は、実際に操作しないとCSSが反映されません。
しかし、DevToolsでは疑似クラスの状態を強制的に適用することができます。
操作方法:
- 対象の要素を Elements パネルで選択
- Styles パネル右上の
:hov
ボタンをクリック :hover
,:active
,:focus
などをチェック
➡ :hover
状態でボタンがどう変化するか、CSSが正しく効いているかを確認できます。
ユースケース例:
- リンクに
:hover
のスタイルが適用されない → 対象要素を疑似クラスで固定し、スタイルの漏れを確認
4.3 Box Model の視覚化と余白の確認
Stylesパネルの下部には「Box Model(ボックスモデル)」が図で表示されます。
含まれる要素:
margin
(外側の余白)border
(枠線)padding
(内側の余白)content
(実際のコンテンツ)
操作方法:
- 要素を選択すると、サイズや余白が色付きの図として表示されます
- マウスオーバーでそれぞれの部分に色が付き、実ページ上でもハイライト表示されます
💡 活用シーン:
- 余白が広すぎてレイアウトが崩れているとき → margin/padding の過剰指定を発見
- インライン要素なのに予期せず高さがある →
line-height
やpadding
の影響を確認
📝 まとめ
- Stylesパネル:CSSの定義・適用状態・優先順位を確認・編集できる
- Computedパネル:最終的に適用されたCSS値を一覧表示(複数のCSSルールの合成結果)
- Box Model:margin/padding/borderの影響を図で確認でき、レイアウトバグの調査に役立つ
CSSのバグ調査やUIの微調整には、まず DevTools で見る癖をつけることが大切です。
手探りのスタイル修正から一歩進み、視覚的・論理的にCSSを操作できる力を身につけましょう。