JavaScriptを扱うフロントエンド開発では、バグの特定や動作検証のためにコードを試しながら調査する必要があります。
Consoleパネルは、ログの出力・変数の確認・関数の試行実行などがリアルタイムでできる万能ツールです。
本章では、開発の現場で頻繁に使われる console
系のメソッドや、インタラクティブな操作方法を学びましょう。
5.1 ログ出力の活用(console.log
, console.table
)
JavaScriptの動作確認では、console.log()
を使って変数の値や処理の流れを出力するのが基本です。
例:
const user = { id: 1, name: "Taro", email: "taro@example.com" };
console.log(user);
➡ Consoleパネルに user
オブジェクトが表示され、展開して中身を確認可能。
console.table()
の便利な使い方:
配列やオブジェクトの配列を 表形式で視覚的に表示できます。
const users = [
{ id: 1, name: "Taro" },
{ id: 2, name: "Hanako" }
];
console.table(users);
➡ 整然としたテーブル表示で、データの比較や確認がしやすくなります。
💡 活用シーン:
- APIから取得した配列の中身を目視で比較
- デバッグ時に変数の増減や値の変化を追跡
5.2 オブジェクト構造の確認
Consoleパネル上では、オブジェクトや配列を展開して中身を逐次確認できます。
複雑な入れ子構造のデータも、一つひとつクリックで展開可能です。
特徴:
- プロパティ名、値、型、構造を直感的に確認
- 関数・クラスなどのインスタンス構造も視覚的に表示
例:
console.log(document.querySelector("form"));
➡ <form>
要素のプロパティや子ノード、イベントリスナなどが展開できる。
🔍 実用例:
event
オブジェクトの中身を確認して、event.target
やevent.key
を特定fetch
のレスポンスからres.json()
の構造を調べて、UI反映のロジックを設計
5.3 実行中の関数の一部を試す
Consoleパネルでは、現在表示されているページに読み込まれているJavaScriptの関数や変数を直接呼び出して試すことができます。
例:
calculatePrice(3, "JPY");
➡ ページ内に定義済みの calculatePrice()
関数を実行し、その戻り値を確認
ページ内の状態を変えて試す:
document.querySelector("#login-button").click();
➡ 実際のクリックイベントを手動で発火させ、挙動を確認
💡 ユースケース:
- バグ報告:「ボタンを押しても何も起きない」→ Consoleから直接ボタンをクリックさせて、イベントが反応しているか確認
- フォームのバリデーション関数を引数を変えて実行し、想定どおりに動くか検証
🧑💻 実践課題
課題:フォーム送信後に取得されるレスポンスオブジェクトの内容を確認し、特定のフィールドの値を抽出してみよう。
console.log(response);
でレスポンスを出力.json()
の内容をconsole.table()
で視覚化- 必要なプロパティにアクセスできるか試す(例:
response.user.id
)
📝 まとめ
Consoleパネルは、JavaScriptの動作確認・デバッグ・関数の実行など、フロントエンド開発の即席実験室です。
ポイントは次の通り:
console.log()
:変数の中身や処理結果の確認console.table()
:配列データの視覚的な確認に最適- オブジェクトの展開:複雑な構造の確認がしやすい
- 関数の試行実行:UI操作や状態確認が可能
日々の開発に Console を組み込むことで、効率的に原因を突き止め、即座に検証・修正できる力が養われます。