🔐 キーストアと署名とは?
Androidアプリは、必ず「署名付きAPK(またはAAB)」としてビルドされて配布されます。これは、Google Playに公開する場合も、手動でインストール(サイドロード)する場合も同じです。
この「署名」には、Javaでも馴染みのある 公開鍵暗号の仕組み(キーストアと秘密鍵)が使われています。
🔑 なぜ署名が必要なの?
- アプリ提供者の識別
→ 署名によって、アプリの「開発者が誰なのか」が確認できます。 - アップデートの整合性を保つ
→ 同じ署名でないと、既存のアプリに上書きインストールできません(セキュリティ上の理由でブロックされます)。 - 改ざん防止
→ 誰かがアプリを改変しても、元の署名と一致しないのでインストール時に弾かれます。
🗂️ キーストア(Keystore)とは?
秘密鍵と証明書(公開鍵)を格納するJava標準のファイル形式です。
Androidでもこの「キーストア」を使って署名を行います。
キーストアは .jks
または .keystore
という拡張子のファイルで、下記のような情報が含まれます:
- エイリアス(鍵の名前)
- 有効期限
- 所有者情報(組織名や国コードなど)
- 秘密鍵(署名に使用)
- 証明書(公開鍵)
🏗️ デバッグビルドとリリースビルドで署名は違う?
はい、違います。
ビルドタイプ | キーストアの種類 | 備考 |
---|---|---|
debug ビルド | 自動生成の「debug.keystore」 | Android Studioが最初から用意してくれる。開発中に使う。 |
release ビルド | 自分で作成した「release.keystore」 | Google Playなどにリリースする場合はこれが必要。期限管理・バックアップも大事。 |
🧪 キーストアの作り方(コマンドライン)
keytool -genkey -v -keystore release.keystore \
-alias myappkey -keyalg RSA -keysize 2048 -validity 10000
-keystore
: 保存するファイル名-alias
: この鍵の識別子(プロジェクト内でユニークでOK)-validity
: 有効日数(例:10000日 ≒ 27年)
⚙️ Gradleでの署名設定(build.gradle
)
android {
signingConfigs {
release {
storeFile file("release.keystore")
storePassword "your_store_password"
keyAlias "myappkey"
keyPassword "your_key_password"
}
}
buildTypes {
release {
signingConfig signingConfigs.release
...
}
}
}
🧭 注意点とベストプラクティス
- 🔒 キーストアは絶対に紛失しないでください。 → なくすとアップデートできなくなります。
- 📦 Google Play App Signing を利用すると、Google側で署名鍵を安全に管理できます(推奨)。
- 🔍 Gitなどにアップロードしないよう、
.gitignore
に*.keystore
を追加しましょう。 - ✅ キーストアの有効期限やバックアップも定期的に確認しておくことが大切です。
🧠 まとめ
概念 | 内容 |
---|---|
キーストア | 署名に使う秘密鍵と公開鍵を格納するJava標準ファイル |
署名 | アプリに開発者の証明を埋め込み、改ざん防止やアップデート時の整合性を守る |
デバッグ署名 | Android Studioが自動生成。開発時のみ有効。 |
リリース署名 | 自分で作成・管理。アプリ公開時には必須。 |
署名は普段は意識しなくても開発できますが、アプリをリリースする段階で非常に重要なステップになります。
「キーストアがないとアップデートできない」という点はぜひ覚えておいてください!