Android application development 第3章:プロジェクト構造とGradleの理解(Mavenとの違い)

Javaアプリケーションのビルドツールとして、あなたはおそらく Maven を使った経験があると思います。pom.xml で依存関係やプラグインを定義し、mvn clean install でビルドするスタイルですね。

一方、Android開発では、ビルドツールとして Gradle(グレードル) が標準的に使われます。GradleはMavenと同じく「依存関係管理」「ビルド自動化」を担うツールですが、より柔軟でカスタマイズ性が高く、Android向けに最適化された設計になっています。


■ まずはプロジェクト構造を比較してみましょう

Mavenプロジェクトの典型的な構造:

myapp/
├── pom.xml
└── src/
    └── main/
        ├── java/
        └── resources/

Android Studioで生成されるAndroidプロジェクトの構造:

MyApplication/
├── build.gradle(プロジェクト全体)
├── settings.gradle
├── app/
│   ├── build.gradle(アプリモジュール)
│   ├── src/
│   │   ├── main/
│   │   │   ├── java/ (アプリのJavaコード)
│   │   │   ├── res/  (UIなどのリソース)
│   │   │   └── AndroidManifest.xml

👉 Androidプロジェクトは、ルートプロジェクト + アプリ(モジュール)という構造です。
👉 app/build.gradle が Maven で言うところの pom.xml に近い感覚です(ただし柔軟性は高いです)。


■ GradleとMavenの大きな違い

観点MavenGradle
定義ファイルXML(静的)Groovy/Kotlin DSL(動的スクリプト)
柔軟性高くない(XMLの制約)非常に高い(条件分岐やループも可)
Android対応非対応(公式には)Android公式ツールチェーン
処理速度比較的遅いキャッシュや並列ビルドにより高速化可能
マルチモジュール構成可能だがやや複雑標準的にサポートされている

■ Gradleの定義ファイル:Groovy or Kotlin DSL

Gradleでは、build.gradle(または build.gradle.kts)にJavaライブラリの依存やビルド設定を書きます。たとえば:

dependencies {
    implementation 'androidx.core:core-ktx:1.12.0'
    implementation 'com.google.android.material:material:1.10.0'
    testImplementation 'junit:junit:4.13.2'
}

Mavenの <dependency> タグよりも簡潔で柔軟です。条件分岐やカスタムタスクも書けます。


■ Android特有のGradle設定

Androidでは、build.gradle の中に android {} ブロックが登場します。これはMavenには存在しない構造です:

android {
    compileSdk 34

    defaultConfig {
        applicationId "com.example.myapp"
        minSdk 21
        targetSdk 34
        versionCode 1
        versionName "1.0"
    }

    buildTypes {
        release {
            minifyEnabled false
            proguardFiles getDefaultProguardFile('proguard-android-optimize.txt'), 'proguard-rules.pro'
        }
    }
}

👉 このブロックで、SDKのバージョンやアプリのID、ビルドタイプなどを指定します。
👉 Android開発に必要なパラメータがここに集中しているため、最初はここを読み解くことが鍵になります。


■ Gradleのビルドコマンド

Android Studioでは基本的にGUI操作ですが、Gradleのコマンドラインも使えます:

./gradlew build          # アプリ全体をビルド
./gradlew clean          # ビルド成果物の削除
./gradlew assembleDebug  # デバッグ用APKの生成

Gradleは gradlew(Gradle Wrapper)を通してプロジェクトローカルに固定バージョンを持てるため、ビルド環境の再現性も高いです。


まとめ:Maven経験は大きなアドバンテージ

Mavenを理解しているあなたにとって、Gradleは「より柔軟なビルドDSL(ドメイン固有言語)」としてすぐに馴染めるはずです。ただし、Android特有の設定がGradleに密接に組み込まれている点が、最大の違いです。

最初は「Groovyの文法がよくわからない…」「どこに何を書くのかわからない」と感じるかもしれませんが、パターンが決まっているので、慣れれば効率よく扱えるようになります。

mh

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