✅ Operatorとは何か?
Operator(オペレーター)とは、Kubernetesに「人間がやっている複雑な運用作業を、自動でやってくれる拡張機能」を提供する仕組みです。
一言で言えば、Kubernetesの知識を持った自動オペレーター(担当者) をコード化したものです。
🔧 そもそも何のためにある?
Kubernetes自体は、PodやServiceの「起動・管理」は得意ですが、以下のような**状態に応じた“運用処理”**は標準機能だけでは難しいです:
- データベースのバックアップ取得やフェイルオーバー
- アップグレード時の順序制御
- 冗長構成の維持
- 自動復旧、再構成
こういった「知識や判断を伴う運用タスク」をKubernetesに自動でやらせたい。そのために使われるのが「Operator」です。
🧠 Operatorの基本構造
Operatorは、次の2つを組み合わせたものです:
- Custom Resource(CR)
- Kubernetesのリソース(例:Pod, Service)に加えて、独自のリソース定義を追加するもの。
- 例:「MySQLCluster」や「RedisBackup」など、独自の用途に応じた定義ができる。
- Controller
- CRの状態を監視して、「目的の状態になるように」自動的に処理するプログラム。
- Go言語やOperator SDKで実装されることが多い。
🔁 Controllerは常に「監視→比較→調整」を繰り返し、「理想の状態」に近づける仕組みです。
📦 例:MySQL Operator
たとえば「MySQL Operator」を導入すると、以下のようなCR(Custom Resource)を定義するだけで:
apiVersion: mysql.presslabs.org/v1alpha1
kind: MysqlCluster
metadata:
name: my-db
spec:
replicas: 3
自動的に以下を行ってくれます:
- 3台構成のMySQLクラスタの作成
- レプリケーションの設定
- ノード障害時の自動復旧
- クラスタのスケーリング対応
つまり、MySQLのプロ運用担当者がやるべき作業を、自動でやってくれるのです。
📦 Operatorの有名な事例
Operator名 | 管理対象 | 概要 |
---|---|---|
Prometheus Operator | Prometheus監視環境 | モニタリングツールのデプロイ・設定を自動化 |
Cert-Manager | TLS証明書 | Let’s Encryptなどの証明書を自動で発行・更新 |
Kafka Operator | Kafkaクラスタ | スケーリング、フェイルオーバー、設定変更など |
💬 まとめ:なぜOperatorが便利か?
- 人間の運用ノウハウをKubernetesに埋め込める
- マニフェストを書くだけで高度な運用が可能
- 再現性と自動化を高め、ヒューマンエラーを減らせる
📌 補足:どう作る?使う?
- 開発には「Operator SDK(Go製)」「kubebuilder」などがよく使われる。
- 多くのOperatorは OperatorHub.io からインストール可能。